2012年05月13日

2012スペインGP採点

パストール・マルドナードが思いがけない優勝。初優勝はいつ見てもいいものですが、なにより小倉茂徳という人のモータースポーツに対する愛情がにじみ出る中継だったのに好感を持ちました。日本人のほとんどが名前も知らないベネズエラ人を穏やかな笑顔で称える姿が印象的で、彼が解説で本当によかったと思います。

【採点基準】
・基本的には管理人のフィーリングです。
・イタリアの新聞よろしく、6.0が基準点、10.0満点。
・クルマの評価は難しいですが、チームがターゲットとしていそうな順位を達成したかどうかも採点に含みます。
・テレビ中継とライブタイミング以外の資料がない状態での速報的な採点です。正確性はありません。トラブルでペースが落ちてしまったドライバーも、レース後のコメントなどは基本的に参考にしないので、点数が不当に低くなる場合があります。4日後に見ればとんでもない点数ということもあるでしょうが、気にしません。
・全体的なパフォーマンスを基に、目立ったアクションで増減します。一点突破や小ネタで高い点をつけることもありますので、かならずしも決勝順位と点数は連動しません。ポジションを失うミスやペナルティ対象行為には厳しめです。

1 セバスチャン・ベッテル(6位):5.0
スピードはそれなりにあったが、最速ではなかった。黄旗無視でドライブスルーを喫したが失ったポジションは1つだった。これからのヨーロッパラウンドにドライバーとしての真価が問われる。

2 マーク・ウェバー(11位):4.0
あいかわらずひどいスタートからまったく戦えないレースペースで、見るべきところはいっさいなし。

3 ジェンソン・バトン(9位):5.0
珍しくタイヤの扱いに苦慮し、ザウバーに追い立てられて防戦に回る。26周目、タイヤを数十m引きずって大きなフラットスポットを作ったのはあまりに彼らしくないシーン。第3スティントもクルマの動きは明らかに悪く、34周目のターン5、脇が甘くなったところで小林の餌食に。38周目にはDRSのベッテルにも抵抗できず、ストロングポイントを見出せずに終わった。

4 ルイス・ハミルトン(8位):6.5
せっかくのQ1最速も燃料を減らしすぎて予選除外、最後尾スタートの憂き目にあって我慢のレースを強いられたが、よく耐えて2ストップを丁寧に遂行した。ロングスティントをこなしながらペースがバトンより速かったことは褒められるべき。運に恵まれないが、今季のウィナーに名を連ねるのは時間の問題。

5 フェルナンド・アロンソ(2位):8.0
昨年を思い起こさせる抜群のスタートでホールショットを決め、地元の大歓声を浴びたが、タイヤに不安を抱えて積極的な戦略は取れず。最終スティントでマルドナードを追いつめたが、最後にはグリップを失った。

7 ミハエル・シューマッハ(リタイア):4.0
13周目にセナのテールに情熱的なキス。インに行きかけてアウトに戻したセナに非があるようには見えたが、金曜日からのスピードにも迫力はなし。

8 ニコ・ロズベルグ(6位):6.0
上位の顔ぶれは違うのに、指定席に戻ってきた。あいかわらずタイヤに厳しいクルマで終盤に苦心惨憺。短いバックストレートのブレーキングで小林に抵抗できず、後ろから迫るベッテルにもポジションを明け渡した。タイヤがあと2周もてば4位は楽に取れるのだが。

9 キミ・ライコネン(3位):7.0
ドライバーは的確な仕事も、チームがサーキットに興味がないかのように見える。最後はアロンソに近づいての3位表彰台も、レースに参加した感はまるでなし。ロータスには「レース」をしてほしい。表彰台でアロンソとともに初優勝のマルドナードを肩車して称えたが、やっぱり無表情だった。

10 ロマン・グロジャン(4位):7.0
4位とは思えないほど存在感なし。ライコネン同様、まるでテストランをたんたんとこなしてきたよう。セナとぶつかってエンドプレートを吹き飛ばしたのが唯一のハイライト。

14 小林可夢偉(5位):8.0
予選Q3を油圧トラブルで走れず9番手スタートに留まったが、決勝では順位どおり5番目に、時としていちばん速いドライバーだった。マクラーレンとメルセデスをほとんどのシーンで上回り、グリッドの不利を完全に跳ね返す。DRSを使ってもホームストレートでは勝てないと見るや、コーナリングを生かして34周目のターン5でバトンを、60周目のターン10でロズベルグをオーバーテイク。抜きにくいサーキットの立ち回りは天下一品、コース上でもっとも目立った。

18 パストール・マルドナード(優勝):10.5
予選ですばらしい仕事を果たしたと思ったら、本当の歓喜は日曜日に待っていた。ハミルトンの除外でポールポジションを奪い、一度は2番手に下がるものの積極的なピット戦略と丁寧なタイヤマネージメントで優勝をたぐり寄せる。最後はアロンソに迫られながら10周を守りきって相手の心を折った。完全にドライで、セーフティカーもない、トップチームのリタイアもほとんどない真っ当なレースを、真っ当に走りきって頂点を射止めた。ロータスとは裏腹に前を見据えて「レース」を戦い続けたからこその栄冠にウィリアムズの底力を見る。0.5は初優勝のおまけ、世界にベネズエラ国歌を教えた。

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2012年05月11日

2012インディカー・シリーズ サンパウロ・インディ300:佐藤琢磨

コメント欄でありがたくもリクエストをちょうだいしましたので書いてみました。しかしひさびさに去年のサンパウロのビデオを見てしまったら楽しいですね、もう。

***

26周目リスタートの攻防は1回のブレーキングで決着した。並走するウィル・パワーに加速のタイミングを外されて引き離された佐藤琢磨は、しかしターン1へのブレーキングポイントをどう見ても10mは奥にとり、慎重に止まろうとしたパワーをコーナー進入前に交わしきってレースのリーダーとなった。サイド・バイ・サイドにすら持ちこませない圧巻のオーバーテイクを完成させた瞬間、日本のモータースポーツ年表の2011年5月2日欄にひとつの項目が書き加えられるのだと確信されたはずだった。日曜のレースが中断されて翌日に延期されるほどの大雨に見舞われたサンパウロで、佐藤琢磨はだれよりも速く、勇敢で、勝利に値するドライビングを遂行していた。

だが終わってみれば、このサンパウロは日本人にとっても「数あるインディカー・シリーズのなかの1レース」にすぎなくなる。リーダーとして迎えた次のフルコース・コーションで、チームはステイアウトを選択した。レースは規定周回まで届かず、2時間で終了することが確定していたから、チェッカーフラッグまでにもう一度コーションがあれば燃料は足りるという算段だった。それはリアルタイムでは妥当な判断にも思えたが、自分の力以外の状況変化に身を委ねるのはやはり最速のリーダーが採るべき戦術ではなかった。ギャンブルはレースに歓迎されず、あとは記憶のとおりである。あまりの混乱に辟易してみんな暴れる気が失せたのか、そろそろおとなしいドライバーしかコースに残っていなかったのか、残り30分ほどのレースは一転して上品に進行してしまう。グリーン・フラッグ・コンディションが途切れないままついに燃料は底をついて佐藤はピットインを余儀なくされ、追撃を再開したものの最後はオリオール・セルビアへのアタックを誤ってターン1をクリアできずにポジションを8位にまで落としたのだった。2日続けての徹夜で寝不足を通りこしていた日本のモータースポーツファンの意識はこうして睡魔とともに遠ざかることになる。年表に載せるつもりだった「日本人初のインディカー・シリーズ優勝」の項は、クリップボードに仮留めされたまま、ターン1の赤くペイントされたランオフエリアのどこかに置きっぱなしになった。

あれから1年が経って、去年を再現する雨が今にも落ちてきそうなサンパウロの68周目、白と青に塗り分けられたレイホール・レターマン・ラニガン・レーシングのマシンが、並走するダリオ・フランキッティとエリオ・カストロネベス2台のインサイドに飛びこんだ。それが佐藤琢磨だと気づくのにほんのすこしだけ時間を要したのは、狭い市街地の2列リスタートでトップ争いに目が向いていただけでなく、このカラーリングと彼を結びつける回路がまだじゅうぶんにできあがっていなかったからだ。深いグリーンに彩られたロータス・カラーのマシンを降り、ホンダエンジンを追うようにRLLへ移籍した佐藤は、前戦ロングビーチのファイナルラップでライアン・ハンター=レイのペナルティ行為によって弾き出されるまで3位を走行したのを除いてほとんどまともにレースをできていなかったし、悪い流れを引きずるようにこの大会でもトラブルによって予選を走れず、最後尾スタートに甘んじていた。まだ何かを成し遂げてはおらず、サンパウロも成し遂げるレースとは思っていなかったから、ポジションにふさわしい目配りをしていなかったのである。クレバーなピット戦略で5位にまで浮上し、さらなる上位の可能性を期待させるほどのスピードもたしかに持っていたものの、すくなくともこのフルコース・コーションが解除される直前の時点ではおおよそのレースで1人か2人くらいはいる「奇襲とそこそこの幸運によって上位に食いこんだドライバー」にすぎなかった。

なるほど肝に銘じておくべきだろう。リスタートのグリーン・フラッグはいつだって佐藤琢磨のために振られるのだ。フランキッティとカストロネベスというリーグきっての名手どうしがターン1を奪い合おうとしているさらにその懐を、彼は勇敢に、深く深くえぐっていった。レコードラインを外れたタイヤはしかしロックすることなく路面を掴み、ドライバーのコントロールを受け止めてシケインの縁石をしなやかにかすめる。窮屈な左をクリアし右に切り返していくマシンが加速をはじめたときには、キャリア計40勝の2人から表彰台を奪い取るオーバーテイクが完了していた。



佐藤琢磨はピーキーであることを好むドライバーである。ピーキーなマシンのドライブを好む、というのではない。彼自身が一心不乱に「ピーク」を見つめ、一気に登りつめようとして――あまりの急角度にしばしば転落する、そうであることにレーシングドライバーとしての意思をすべてささげているように思えるということである。彼のレースはしばしば情熱的であり、それはインサイドへの指向に象徴される。伸るか反るか、彼のレース人生を彩るのはつねにインへと切れこむ一瞬の情動だ。たとえばシケインでヤルノ・トゥルーリとクラッシュした2005年のF1日本GP、たとえばF1における日本人最高位に手が届きかけた2004年ヨーロッパGPターン1でのルーベンス・バリチェロとの接触、またたとえばF1時代唯一の表彰台となった同年アメリカGPで見せた、バックストレートエンドでのオリビエ・パニスに対するパッシング。間違っても「高速コーナーの手前で揺さぶりをかけてラインの自由度を奪い、外からかぶせて抜き去る」というような芸当が、実際のところはともかく、イメージされるようなドライバーではない。インサイドこそが佐藤琢磨の生きる場所であり、死に場所でもある。インへインへと飛びこんでいくから、自然とコーナリング角度は「急」になる。「ピーキー」なのだ。

ピークは情動の頂点であり、また危険の頂点でもある。生き抜いてみればこれほど心震えるものもないが、モータースポーツは残酷に繊細だ。わずかでも越えてしまえば、その先の切り立った崖下にはリタイアの黒い淵が待ち構えている。その危ういピークを求め続けるのが佐藤琢磨のドライビングだと言っていい。以前に書いたこととも重なるが、佐藤琢磨はインサイドというピークに生きることで周囲の魂を揺さぶってドライバーとしてのキャリアを形成し、インサイドというピークで死ぬことで周囲の信頼を集めきれずにそのキャリアを不安定なものにしてきた。RLLの規模のチームでステアリングを握るいまの姿は、生き死にを繰り返してきた彼にとって自然な帰結でもある。最高の果実を求めて恐れず死地に赴く生き方はチャンピオンに切りかかっていくチームにこそふさわしい。

はたして佐藤琢磨はそれを遂げた。フランキッティとカストロネベスは彼の深いブレーキングになすすべなく、重要なポジションを明け渡した。



1年前の忘れものを探しに来てみれば、少しばかり褪せていたのかもしれない。3位に上がった後の残り5周で前を行くパワーやハンター=レイと渡り合えるスピードは出せず、昨年失ったものを取り返すチャンスは来なかった。4年ぶりにフルシーズンを戦うRLLは勇気を得ただろうが、もちろんこの結果ひとつでトラブルの多いチームの問題が解決するわけでも、また佐藤がミスのないドライバーに生まれ変わるわけでもないし、次こそは優勝だと息巻くほど楽観的になれるわけでもない。われわれ日本のファンが佐藤琢磨に成してほしいと願ったこと、彼自身が成したいと決意したことは、まだ達成されていない。

だがそれでもなお、2012年4月29日のサンパウロ、68周目のターン1は記憶される必要があるだろう。われわれは、佐藤琢磨に夢を見て、F1から去ってもなお見捨てられなかった、その根源を知っている。だからあのパッシングが琢磨なのだと言いきることができる−−ピークを追い求めるピーキーな琢磨だったからこそ、あの瞬間が訪れたのだと確信できるのだ。真に最高の結果ではなかったかもしれないが、これはたしかにひとつの到達点にちがいない。ひとつのコーナーで見せた1度きりの運動に、佐藤琢磨のキャリアすべてが凝縮されたのだから。

F1のあのときから8年を経て、彼は表彰台へ戻った。シャンパンの栓の抜きかたは、どうやら忘れていたようだった。

posted by DNF at 01:39| Comment(2) | TrackBack(0) | インディカー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年04月22日

2012バーレーンGP採点

【最近のDNF】
今季初登板、5回コールドながら4失点(自責2)、無四球で完投勝利! コントロールがよくなってきたて、投手としてやっていける気がする。ショートでちょっとエラー増えてきたし。気分よくバーレーンGPの短評。


【採点基準】
・基本的には管理人のフィーリングです。
・イタリアの新聞よろしく、6.0が基準点、10.0満点。
・クルマの評価は難しいですが、チームがターゲットとしていそうな順位を達成したかどうかも採点に含みます。
・テレビ中継とライブタイミング以外の資料がない状態での速報的な採点です。正確性はありません。トラブルでペースが落ちてしまったドライバーも、レース後のコメントなどは基本的に参考にしないので、点数が不当に低くなる場合があります。4日後に見ればとんでもない点数ということもあるでしょうが、気にしません。
・全体的なパフォーマンスを基に、目立ったアクションで増減します。一点突破や小ネタで高い点をつけることもありますので、かならずしも決勝順位と点数は連動しません。ポジションを失うミスやペナルティ対象行為には厳しめです。

1 セバスチャン・ベッテル(優勝):9.5
復活のポールポジションは、去年同様に完璧にまとめきったフライングラップによってもたらされた。ホールショットを鮮やかに決めてたった2周で3秒をつけて勝ちパターンに持ちこんだ。第3スティントでライコネンに食われかけたが、もっとも危うかった36周目ターン1のブレーキングを制して勝負あった。らしいレースで気付けばポイントリーダーへ。

2 マーク・ウェバー(4位):6.5
チームの上昇気流を完全には掴めず、スピードはあったがトラックポジションで勝負できなかった。2ストップで逃げるディ・レスタに苦戦、DRSを使いながらも捕まえるのに時間がかかったことで表彰台から遠ざかった。ベッテルが昨季の勝ち方なら、ウェバーは昨季の負け方。

3 ジェンソン・バトン(13位):5.0
地味ながらなんとかディ・レスタを追いこみ6位に手をかけたかと思った瞬間、エキゾーストのトラブルでピットインを余儀なくされ、チェッカーを待たずにマシンを降りた。

4 ルイス・ハミルトン(8位):5.5
ピットストップに失敗した直後の10周目、ロズベルグとのバトルでとつじょラリードライバーに変貌、砂(実際は砂色の舗装)の上を走ってパッシングを決めた……ルール上はだめだけど、まあいいものを見た。レースはピットワークに泣く。

5 フェルナンド・アロンソ(7位):7.0
苦しいのは間違いない。間違いないが、抜群のスタートとポイントを押さえたディフェンスでハミルトンに仕事をさせなかった。

6 フェリペ・マッサ(9位):6.5
予選に苦労したが、スタートで飛び出してポイント争いの主導権を握った。ようやくポイントを獲得し、ほっと一息。燃料を有意義に使えた。

7 ミハエル・シューマッハ(10位):6.0
予選上位の過去2レースでは不運に泣いたが、予選Q1でノックアウトされたときにはポイント圏内に戻ってくるのだから不思議なもの。グリッドを考えればロズベルグと15秒差は立派。

8 ニコ・ロズベルグ(5位):6.0
ターン4過ぎの短いストレートでハミルトンとアロンソをコース外へと押し出すような動き。優勝で浮かれたわけでもあるまいが、この後2件の審議にどう処されるだろうか。

9 キミ・ライコネン(2位):9.5
真の復活はこちらの王者か。予選11番手からスタートを決め、余らせた新品タイヤを存分に使って逃げ切りを図る昨季王者の尻尾に食いついた。最終スティントはベッテルの速さに屈したが、表彰台の中央は十分に見えた。33周目ターン6のブレーキングは重厚と鋭利を併せ持った聖剣のような切れ味だったが、公式会見のしゃべりは相変わらずなまくら。

10 ロマン・グロジャン(3位):8.5
ロケットスタートを決めて一気に表彰台圏内に浮上し、7周目のターン1でDRSからハミルトンに食いつく。チャンピオンを料理していよいよ存在感をアピール、キャリア初のポディウム登壇をはたした。ライコネンとは戦えなかったが、確実にF1ドライバーに戻りつつある。

11 ポール・ディ・レスタ(6位):7.5
20周目、マルドナードとペレスがバトルで外に孕んだ瞬間を見逃さずに2台まとめてパッシング。スピードは持ちながらアピールポイントの少ないドライバーが久しぶりに魅せた。ソフトタイヤスタートから丁寧にタイヤを使い唯一2ストップを成功させ、トップ5チームのドライバーが入賞圏内にずらりと並ぶなか中団勢で唯一ポイントを獲得した。不調を伝えられたフォース・インディアも徐々にスピードを取り戻し、混戦に一役買う。


番外編:川井一仁:7.5
川井ちゃんは政情不安で危険なバーレーンには入らず珍しく東京のスタジオで解説を担当。全員でおなじ画面を見ているためだろう、現地にいるときとくらべてコミュニケーションがスムーズで、なんとも落ち着いた話しぶりとなった。いつも実況に対して問い返すあの「はいぃ?」を聞かなかったのは初めてかもしれない。現地で情報を得られなかったりドライバーに直接話を聞けなかったりと問題も多いだろうが、視聴者としてはこのスタイルのほうがいいんじゃない?

posted by DNF at 22:54| Comment(3) | TrackBack(0) | F1 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年04月15日

2012中国GP採点

どこもかしこも大混戦、バトルをやっていない空間がないような中国GPでした。前々から言っていることではありますが、予選の大激戦も含めて「今のF1はつまらない」と口にする人(わたしの周りにもいるわけですが)は今のF1をこれっぽっちも見ていないと断言してかまわんでしょう。それにしてもなんというタイヤレース。


【採点基準】
・基本的には管理人のフィーリングです。
・イタリアの新聞よろしく、6.0が基準点、10.0満点。
・クルマの評価は難しいですが、チームがターゲットとしていそうな順位を達成したかどうかも採点に含みます。
・テレビ中継とライブタイミング以外の資料がない状態での速報的な採点です。正確性はありません。トラブルでペースが落ちてしまったドライバーも、レース後のコメントなどは基本的に参考にしないので、点数が不当に低くなる場合があります。4日後に見ればとんでもない点数ということもあるでしょうが、気にしません。
・全体的なパフォーマンスを基に、目立ったアクションで増減します。一点突破や小ネタで高い点をつけることもありますので、かならずしも決勝順位と点数は連動しません。ポジションを失うミスやペナルティ対象行為には厳しめです。

1 セバスチャン・ベッテル(5位):5.5
スタート直前に川井ちゃんが「ベッテルソフトタイヤ」とレポートしていたのを「当たり前だろ」と思ってしまったのはQ3を逃したことを完全に忘れていたから。予選の速さは影を潜め、決勝もやっとこさという感じで5位に入るのが精一杯だった。

2 マーク・ウェバー(4位):7.0
7周目にソフトタイヤから新品ミディアムタイヤに交換する積極的な作戦で、速いペースを刻み続けた。スピードは安定してチームメイトを上回る。主導権を奪回して自分のチームを作れるか、それとも贔屓に苦しむか。ベッテルより乗れているのは間違いない。37周目に危うく空中回転のウイリー。

3 ジェンソン・バトン(2位):8.0
タイヤを駆使して何とかロズベルグの喉笛に噛みつこうとしたが、今日の初ウィナーに隙はなし。最後はピットのミスでタイムをロスし、白旗を揚げた。

4 ルイス・ハミルトン(3位):8.0
3戦連続の3位も、5グリッド降格を思えば上々の結果。フラストレーションのたまるレースで、去年の後半ならミスで終わっていたかもしれないところをよく戦った。15ポイント×3でとりあえずポイントリーダー。ランキング表を見るだけで乗っていけるだろう。

5 フェルナンド・アロンソ(9位):5.5
マッサとおなじクルマを走らせているはとうてい思えない圧倒的な運転。ふたたび戦闘力の高いマシンを手に入れたとき、世界一の座は間違いなく彼のものだろう。叱責させるべきは43周目に高速コーナーでセナに対しサイド・バイ・サイドをしかけてコースアウト。

7 ミハエル・シューマッハ(リタイア):6.0
2戦連続で予選トップ3会見に姿を見せたが、14周目にピットワークのミスでレースを失った。ただレースペースとしてはロズベルグに及ぶこともなかったか。とはいえロズベルグの走りを見ればメルセデスはこの週末でひとつ殻を破った感がある。あとは表彰台を待とう。

8 ニコ・ロズベルグ(優勝):10.0
初PPからの初優勝は2位に20秒をつけての文句ない圧勝。歴代ウィナーに名を連ねるべき人が、ついにその座についた。不安視された決勝のペースでだれにも負けず、戦略もピットワークも完璧、何から何までうまくいった。どんなに苦労したって、勝つときは案外こんなもの。上海らしい曇天の空に拳を突き上げ、ロス・ブラウンの穏やかな笑顔がただただ印象に残った。

9 キミ・ライコネン(14位):5.0
11周目のウェバーとのバトルに喝采。ターン4から5にかけて、縁石を踏みながら狭いスペースのなかで細いロープの上を渡るかのようにマシンをコントロールしきった技術は何も衰えていない。復帰3戦目、はじめて「帰ってきた」実感が湧いた。しかし集団で最初にタイヤがサチって2位から14位まで一気に後退。これはつらい。

10 ロマン・グロジャン(6位):7.0
ようやくの完走はしっかりとポイント圏内で一安心。ライコネンの向こうを張ってタイヤを巧く使い切り、黒とゴールドのマシンを6位に留めた。2度目のF1人生はこれから始まる。

14 小林可夢偉(10位):6.0
予選の課題を克服するスーパーラップで3番グリッドをもぎとったものの、スタートの差し合いに敗れて7位まで順位を落とした。なかなかすべてが噛み合う週末は訪れないが、それでもポイントは持ち帰る。他よりもピットストップが1回多く、最終盤には大量の餌が目の前にぶら下がっていたが食いつききれなかった。あと3周あればとは思うが、スピードに勝負を賭けたチームの姿勢に好感が持てる。ファステストラップはおまけだが、おめでとう。

15 セルジオ・ペレス(11位):6.0
ハミルトンとアロンソに追いつめられながらの35〜36周目ヘアピンで見せたフルロックに凄みを見せる。安定的な予選と狙いどおりのタイヤマネージメントで2ストップを完遂したが、ライバルチームの変則ピットストップまでは読めなかった。しかしチームメイトに対してあの幅寄せはちと酷い。

18 パストール・マルドナード(8位):7.0
この人もこのポジションにいるべきドライバーだった。ミスをせず、トラブルもなく無事初ポイント。アロンソと小林の攻撃に曝されながらパニックにならず順位を守りきった。去年に比べれば落ち着いている。

19 ブルーノ・セナ(7位):7.0
スタートでフロントウイングを壊しながら奮闘。タイヤにはきつかったはずだが、最後まで持たせきった。チームメイト同様去年から落ち着きを身につけつつある。混戦が続きそうな中団チームはとりあえずザウバーとウイリアムズがひとつ抜けたか。

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2012年03月25日

2012マレーシアGP採点

ようやく更新するようになった、と思ったらインフルエンザでダウンですよええ。さすがにだるいのでかなり簡単な短評にしておきますが、落ち着いたらオーストラリアGPも振り返りたいと思います。では。


【採点基準】
・基本的には管理人のフィーリングです。
・イタリアの新聞よろしく、6.0が基準点、10.0満点。
・クルマの評価は難しいですが、チームがターゲットとしていそうな順位を達成したかどうかも採点に含みます。
・テレビ中継とライブタイミング以外の資料がない状態での速報的な採点です。正確性はありません。トラブルでペースが落ちてしまったドライバーも、レース後のコメントなどは基本的に参考にしないので、点数が不当に低くなる場合があります。4日後に見ればとんでもない点数ということもあるでしょうが、気にしません。
・全体的なパフォーマンスを基に、目立ったアクションで増減します。一点突破や小ネタで高い点をつけることもありますので、かならずしも決勝順位と点数は連動しません。ポジションを失うミスやペナルティ対象行為には厳しめです。

1 セバスチャン・ベッテル(11位):5.0
予選Q3をプライムタイヤでアタックする奇襲で6番手。決勝を見据えてか、それともフィーリングの問題か、いずれにせよ昨季までなら不必要な動きをあえて取るのは挑戦か苦悩か。カーティケヤンのフロントウイングでタイヤをカットしてポイント圏外に去る。

2 マーク・ウェバー(4位):6.5
前のレースのコピペでいいんじゃないかと思った。

3 ジェンソン・バトン(14位):9.0
ヘアピンで流れてカーティケヤンにぶつける痛恨のミス。インド人大活躍。珍しいものを見た、という意味では眼福だったが、その後のタイヤの扱いにも苦慮した。忘れたい日。

4 ルイス・ハミルトン(3位):6.5
混乱のピットストップでポジションを下げたのはともかく、その後スピードがまったく上がらずフェラーリとザウバーとの争いの蚊帳の外。存在感はなかった。不満そうな顔だがフラストレーションはためるべからず。

5 フェルナンド・アロンソ(優勝):9.0
どれほどにタフで、どれほどに獰猛なのか。突出したストロングポイントがないクルマを、ドライバーの腕だけで頂点に持ち上げた。ポイントリーダー。信じられない。

7 ミハエル・シューマッハ(10位):5.5
まずは予選3番手で公式会見に帰ってきた。決勝のセットに自信を見せたが、雨とグロジャンの撃墜にプランは狂った。

9 キミ・ライコネン(5位):7.0
もはや疑いなく、かつてのチャンピオンは態勢さえ整えば未来のチャンピオンでもありうることを証明した。速く、強い。

10 ロマン・グロジャン(リタイア):4.0
水煙のなかシューマッハにぶつけ、さらにテールから流れてグラベルの餌食に。まだレースで何者かを見せてはいない。

15 セルジオ・ペレス(2位):9.0
スタート直後にタイヤをウエットに換えたことが最大の幸運だったのはたしか。だが最後までコース上で速く、フェラーリを追いつめた。アロンソを0.5秒差まで追いつめながらコースオフしたのは若さだが、その若さでペーター翁に涙を流させた。

17 ジャン=エリック・ベルニュ(8位):7.0
18番手スタートから赤旗中断時7番手は豪雨の中インターミディエイトタイヤで我慢したドライビングの賜物。チーム判断だろうが、ルーキーがタイヤを換えなかった勇気を称えたい。

18 パストール・マルドナード(19位):6.0
……気の毒だなあ、としか。

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2012年03月18日

2012オーストラリアGP採点

ほんとうは昨季の総評をしたかったんですが、何よりも仕事の激化がひどく、なにもできないまま2012年の開幕を迎えてしまいました。あと4ヵ月、4ヵ月で解放される……。週末のGP観戦は欠かさず、とりあえず短評だけは続けたいと思っています。今季もよろしくお願いします。


【採点基準】
・基本的には管理人のフィーリングです。
・イタリアの新聞よろしく、6.0が基準点、10.0満点。
・クルマの評価は難しいですが、チームがターゲットとしていそうな順位を達成したかどうかも採点に含みます。
・テレビ中継とライブタイミング以外の資料がない状態での速報的な採点です。正確性はありません。トラブルでペースが落ちてしまったドライバーも、レース後のコメントなどは基本的に参考にしないので、点数が不当に低くなる場合があります。4日後に見ればとんでもない点数ということもあるでしょうが、気にしません。
・全体的なパフォーマンスを基に、目立ったアクションで増減します。一点突破や小ネタで高い点をつけることもありますので、かならずしも決勝順位と点数は連動しません。ポジションを失うミスやペナルティ対象行為には厳しめです。

1 セバスチャン・ベッテル(2位):8.0
過去3年、あれだけ空力に優位を誇ったレッドブルのマシンが信じられないほどふらふらとコースを蛇行した。予選のターン10、クラークの出口で見せたリアのスナップは、グリップに溢れた昨季まではありえなかった動き。決勝でも6周目ターン1のブレーキングであっさり乱れた。結果以上に、クルマの振る舞いに不安を残す。空力のセパンに予選0.75秒を覆す秘策はあるか。

2 マーク・ウェバー(4位):6.5
上位陣でもっとも存在感なし。ギアレシオの関係もあって終盤の接近戦でも勝機を見出せなかった。スタート直後の1コーナーで挟み込まれたが、よく走ったというべきだろう。

3 ジェンソン・バトン(優勝):9.0
スタートでハミルトンから優位を奪った瞬間に勝負は決した。昨季からかわらない完璧なレースコントロールで勝利を確固たるものにする。圧巻はセーフティカー明け、失ったリードを一瞬で築きなおし、ベッテルは指をくわえて見ているしかなかった。

4 ルイス・ハミルトン(3位):8.5
お世辞にも美しいとはいえないステップドノーズが席巻するなかで、スタイルを保ったクルマが速いというのは嬉しくなる。決勝はスタートで失敗しバトンに頭を抑えられた。グリッド随一のレース巧者にリードされては手も足も出ず。3位はセーフティカーの綾で仕方ない。

5 フェルナンド・アロンソ(5位):6.5
予選Q2のターン1、ブラハムコーナーへのアプローチで芝生を踏み、綺麗に180度スピン。わたしの記憶にまたひとつ美しいスピンが加わった。マシンから降りた背中に漂わせた怒りはだれに向く。決勝の組み立てとペースの作り方はさすがの一言だったが、年々競争力で苦戦する姿が目につく。フェラーリは1980年代をふたたび歩むことになるのだろうか。

6 フェリペ・マッサ(リタイア):3.0
セナと子供の喧嘩。

7 ミハエル・シューマッハ(リタイア):6.5
3年目のメルセデスに上昇の気配が見える。いちどはフロントローに並ぶかと思わせた予選から序盤は終始3番手を追走し、ストレートの遅いベッテルを抑え続けた。最後はシフトに問題を抱えピット入り口に止める。

8 ニコ・ロズベルグ(12位):6.0
また7〜8位か……と思っていたら最後の最後にペレスと接触して? スローダウン。予選Q2のスピードに夢を見たが、去年より勝負になっていたぶんだけQ3で欲が出たか、珍しくミスを連発した。

9 キミ・ライコネン(7位):6.5
もちろん出戻り組いちばんの大物。注目の予選Q1は肝心のアタックでコースアウトを犯し、それは起こりうるミスだから仕方ないが、結果時間切れで仕切り直しのアタックに入り損ねてノックアウトされた。急げばもう1sバックオフしてタイヤのパフォーマンスを戻そうとしていたのだと推測されるがアタックできないのでは意味がない。チーム全体でコミュニケーション態勢を整えてほしいところ。

10 ロマン・グロジャン(リタイア):5.0
まずはおかえり。開幕前の評判そのまま、予選トップ3に顔を出して見せた。決勝では3周目早々に接触でフロントサスペンションを壊したが、まずはひとつ存在感を発揮した。しかし2011年のルノーも開幕直後には表彰台の常連になると思われたもの。今後は昨季ついに持ちえなかった継続性こそがなにより重要になる。

11 ポール・ディ・レスタ(10位):5.5
昨季終盤もっとも勢いに乗っていたドライバーだが、年が明けてみればまた0からのスタートなのだから難しいものである。目を引く場面は一度もなかったが、混乱のファイナルラップ、コントロールライン直前でベルニュをかわしてポイントを持ち帰った。

12 ニコ・ヒュルケンベルク(リタイア):5.5
こちらもおかえり、一撃の速さは健在だった。

14 小林可夢偉(6位):7.0
リアウイングを壊しながら奮闘、26周目から27周目にかけて、フェラーリのマッサと元フェラーリのライコネン相手に三つ巴の熱いバトルを繰り広げる。中盤のペースを概観するとトップ10のテールでは戦えるという印象。セーフティカー明けはライコネンに対するDRSなしでの大外刈りとロズベルグの懐に深く飛びこんでコントロールしきった腕を見せつけたのがハイライト。最後の大逆転はちょっとしたご褒美だったが、なにが起こったのか。

15 セルジオ・ペレス(8位):7.5
アクシデントがらみではあったものの、苦手にしていたスタートで一気に10ポジションアップ、ミディアムタイヤのスタートでロングスティントを消化する得意のパターンに賭けた。セーフティカー分は割り引く必要はあるがソフトタイヤで30周以上を走りきり、昨季失格で失った7位を取り戻すところまでいった。最後は大混乱のなか8位に後退も、すばらしい仕事。ザウバーがコンストラクター3位に!

16 ダニエル・リチャルド(9位):8.0
まずは地元で世界を驚かせるQ3進出、決勝もスタート後の混乱で落胆しかけたが、最後の混乱で一気にポイントまで駆け上った。チームメイト同士で見せた終盤のドリフトバトルが熱かった。

17 ジャン=エリック・ベルニュ(11位):6.0
こちらも悪くないデビュー、レッドブルの育成システムが確実に構築されていることを感じさせる。終盤はライコネンの後ろにつけてあわやポイントまで感じさせたが、最後の最後、残りたった100mでディ・レスタにポジションを譲った。

18 パストール・マルドナード(13位):6.0
予選の速さは昨季と変わらず、1周だけ走らせたら眩いばかりの輝きを放つ。昨季は決勝に大きな問題を抱え、終わってみれば1ポイント。このメルボルンでアロンソに鋭い牙を剥き、いよいよ6位と思われたファイナルラップ、マシンを縁石に引っかけてすべてを失った。それにしてもなんというか、国籍のせいかもしれないが、ものすごくインディカーのドライバーっぽい。

19 ブルーノ・セナ(リタイア):3.5
マッサと子供の喧嘩。

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2011年11月28日

ブラジルGP採点

長かった2011年のF1も終わり。DRSやコントロールタイヤをはじめとした「作られたショー」に異論もあったが、全体的には楽しいシーズンであった。ベッテルの独走でも興が削がれることはなかったのは、いつもサーキットのそこかしこで何かが起こっていたからだ。レースは瞬間の抽出だけで楽しめる、それをよくわからせてくれた1年だったと思う。



【採点基準】
・基本的には管理人のフィーリングです。
・イタリアの新聞よろしく、6.0が基準点、10.0満点。
・クルマの評価は難しいですが、チームがターゲットとしていそうな順位を達成したかどうかも採点に含みます。
・テレビ中継とライブタイミング以外の資料がない状態での速報的な採点です。正確性はありません。トラブルでペースが落ちてしまったドライバーも、レース後のコメントなどは基本的に参考にしないので、点数が不当に低くなる場合があります。4日後に見ればとんでもない点数ということもあるでしょうが、気にしません。
・全体的なパフォーマンスを基に、目立ったアクションで増減します。一点突破や小ネタで高い点をつけることもありますので、かならずしも決勝順位と点数は連動しません。ポジションを失うミスやペナルティ対象行為には厳しめです。

1 セバスチャン・ベッテル(2位):8.0
マンセルの年間ポールポジション記録を最終戦で突破。レースはギアボックスにトラブルを抱えてショートシフトを余儀なくされたが、それも"I feel like Senna"と英雄の気分。表彰台の笑顔もさわやかだった。

2 マーク・ウェバー(優勝):8.0
ベッテルのトラブルに救われたいまひとつすっきりといかない今季初めてのトップチェッカーは、同時にチャンピオンシップ3位を奪回する優勝ともなった。昨季の「セカンドドライバー」は今季本当にセカンドになってしまった。チームが若き王者にますます傾いていくのを、来季どう思いながら過ごすことになるだろうか。

3 ルイス・ハミルトン(リタイア):5.0
フリー走行までは感触を掴んでいたが、予選でバトンに負けた後の決勝で覇気の見えない周回を重ねると、最後はギアボックスのトラブルでマシンを降りた。アロンソとは逆の意味で今季を象徴するようなレース。ブラジル仕様のヘルメットも空しく、走りが眠たそうだった。

4 ジェンソン・バトン(3位):8.0
オプションタイヤで苦労した序盤から一転、プライムタイヤに履き替えてからは好ペースで自分の確保すべきポジションを正確に守り続けた。シーズンの締めくくりはプッシュ&プッシュで一度は抜かれたアロンソをパスして表彰台へ。どんなレースもできる臨機応変な才能を最後まで見せてくれた。

5 フェルナンド・アロンソ(4位):7.0
チャンピオンシップのライバルであるバトンに牙を剥き、11周目のターン6で外から豪快に鼻先を刈りとった。終盤に逆襲され追撃及ばずも可能な限りの仕事を全力でやり遂げるこの姿を今季何度見たことか。最後の最後にウェバーに逆転を許したが僅差のシーズン4位は戦闘力を完全に凌ぐと言って間違いない。スタートダッシュ、オーバーテイク、スパート……今季のあらゆるアクションが記憶に残る。劣勢のなかで奇跡のようなパフォーマンスを発揮し続けた。

6 フェリペ・マッサ(5位):6.5
どうしてもスピードに欠ける状況で2ストップに望みを託し5位に踏みとどまったが、苦しいレースだったのは確か。46周目にタイヤ交換するまでは居酒屋帰りのサラリーマンのような千鳥足で、地元ファンに爽快な姿を見せることはできなかった。憂さ晴らしのドーナツターンに0.5点奢っておくがどうせならバリチェロのほうを見たかった気も。

7 ミハエル・シューマッハ(15位):4.5
エス・ド・セナの入り口でブルーノ・セナと接触してレースを失う。切り返しの右で相手のフロントウイングにタイヤをカットされたのは気の毒だったが、ひとつめの左でスペースを潰しにいったのは……まあシューマッハの動き。

8 ニコ・ロズベルグ(7位):6.0
7位。

9 ブルーノ・セナ(17位):4.0
予選は完璧で、才能の片鱗は見える。だがレースにはまだまだ経験が足りないようだ。シューマッハとのサイド・バイ・サイドでがんばりすぎてフロントウイングを破損し、ペナルティも受けてせっかくの好グリッドをふいにした。セナの名前を背負ったブラジルは失意に終わるが、その名前を背負うのもたいへんなことだ。

10 ヴィタリー・ペトロフ(10位):5.5
予選でブルーノ・セナに大きく後れを取ったものの、スタートで取り返してなんとかポイント圏内に舞い戻った。3ストップの利でフレッシュタイヤを生かしてプッシュを続け、小林まで3秒と追いつめたもののそこで終戦。とはいえルーキーイヤーに比べればたしかに進歩は遂げた。

11 ルーベンス・バリチェロ(14位):5.0
12番グリッドもスタートで失速し久々のチャンスは潰えた。今季のウィリアムズではついに戦えるマシンを得られず、2012年にキャリアを刻めるのかはわからない。次のインテルラゴスでも姿を見たいものだが。

14 エイドリアン・スーティル(6位):8.5
今日のMVP。スピード、ペース、バトルのすべてが完璧だった。2度にわたるロズベルグとのターン1の攻防は2011インテルラゴス最高のハイライト。メルセデスワークスに牙を剥きDRSなしで堂々と抜きさって見せた。シーズン初期のトンネルを脱して最高の印象で1年を終えたが、これほどのドライバーがまだシートを確定できていないことにF1の魑魅魍魎を感じざるをえない。

15 ポール・ディ・レスタ(8位):6.5
スーティルの影に隠れた感があるものの全体的には手堅い仕事でフィニッシュし、アルグエルスアリを差しきってランキング13位に飛びこんだ。ポイントで小林に負けたのは不満ではあるがシーズン終盤の調子はスーティルに遜色なし。メルセデス育ちとして残留濃厚だが、野望はやはりシューマッハ引退後?

16 小林可夢偉(9位):7.5
ポイントは絶対のミッションではなく、なによりトロロッソの前でチェッカーを受けるべきレースで、それを確実にこなしたことを褒め称えるべきだろう。スタートでアルグエルスアリの前に出て、2周目にはブエミをパスしたことで、チームは安心してレースを見守れたに違いない。25歳とは思えない落ち着いたレースは特筆に値するが、来季に向け予選パフォーマンスの向上は切に望まれる。採点はミッション達成評価も含む。

19 ハイメ・アルグエルスアリ(11位):6.0
スピードに賭ける積極的な3ストップで最後までペトロフと小林を追い上げたが、ザウバー逆転には至らなかった。とはいえチーム、ドライバーともに長足の進歩、来季もF1で見たい。

20 ヘイキ・コバライネン(16位):6.5
まだまだ実力でのQ1突破は難しいがそれでもウィリアムズの背中は少しだけ見えた。レースの最速ラップ1.18.023もなかなかどうして立派なもの。来季はあと1秒でポイントが見える。死にものぐるいに努力してもその1秒が遠かったりするのがF1ではあるが……。


番外編 今宮純:6.5
レース折り返し間近の34周目、「雨の気配はまったくありません。雨の気配はまったくありません」と大事なことなので2回言った直後に国際映像がレッドブルの雨雲レーダー画面が表示する「RAIN EXPECTED」の文字を抜くという鮮やかなコンビ芸。結果雨は降らず正しいのは彼だったが絶妙のタイミングでシーズン最後に微笑ませてくれた。インテルラゴスの天気は難しいからね。

posted by DNF at 03:28| Comment(0) | TrackBack(0) | F1 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする